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2012/2/1

ゲシェフトフューラーの豆知識

顧客データの私的利用、どの程度の処分が妥当?

この記事の要約

顧客データを私的な目的で利用すれば処分される。これについては誰も異論がないだろう。だが、どの程度の処分が妥当かとなると判断に迷うのではなかろうか。この問題についてマインツ州労働裁判所が昨年11月に判決(訴訟番号:10 S […]

顧客データを私的な目的で利用すれば処分される。これについては誰も異論がないだろう。だが、どの程度の処分が妥当かとなると判断に迷うのではなかろうか。この問題についてマインツ州労働裁判所が昨年11月に判決(訴訟番号:10 Sa 329/11)を下したのでここでお伝えする。

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裁判を起こしたのは銀行に勤務する既婚の男性職員(50歳)。同職員は2011年1月16日、ガソリンスタンドで自分好みの女性を見かけ「どこかでお会いしませんでしたかたね」と話しかけ、その後スタンドの店員から女性の名前を聞き出した。翌日、勤務先の銀行で調べてみると、女性が顧客であることが判明。顧客データにあった女性の携帯電話番号にラブコールのSMSを送信した。

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女性は24日、預金に関するアドバイスを受けるために同銀行に来店した。これを見かけた原告の男性職員は相談室に勝手に入り込み、女性を口説こうとした。

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女性は同職員の一連の行動を不愉快に感じ、同行に苦情を届けた。これを受け同行は2月10日付の文書で、原告に解雇を通告。それと同時に給与の低いポストで再雇用することを提案した。

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原告はこれを不服として提訴。第1審のカイザースラオターン労働裁判所は原告勝訴を言い渡し、第2審のマインツ州労裁も第1審判決を支持した。判決理由で裁判官は、被用者を解雇できるのは重大な義務違反を今後も続ける可能性が高い場合に限られると指摘。原告が顧客データを濫用したのは今回が初めてであり、警告処分が妥当だとの判断を示した。

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