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2012/2/8

経済産業情報

カルテル通報者の個人情報、今後も秘匿に=ボン地裁

この記事の要約

カルテル行為の摘発につながった第一通報者に関する個人情報開示の是非をめぐる係争で、ボン地方裁判所は1月30日、カルテル当局は通報者情報をこれまで通り秘匿できるとの判決を下した。通報者はカルテル当事者の報復などから保護され […]

カルテル行為の摘発につながった第一通報者に関する個人情報開示の是非をめぐる係争で、ボン地方裁判所は1月30日、カルテル当局は通報者情報をこれまで通り秘匿できるとの判決を下した。通報者はカルテル当事者の報復などから保護されるべきであり、たとえ被害者の救済を目的とする請求でも開示に応じる必要はないとした。

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情報開示を請求していたのはカルテルで被害を受けた建材大手のPfleiderer。同カルテルは装飾紙メーカー数社が価格や生産量について違法な取り決めを行っていたもので、08年に総額6,200万ユーロの制裁金が課された。

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同社はカルテル関与企業の顧客として損害を受けたとして、損害賠償請求訴訟を準備。連邦カルテル庁に資料の閲覧を申請したが、拒否されたため提訴した。

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ボン地裁の裁判官は、通報者の情報を秘匿にすることでカルテル当局は通報者からの信頼を獲得し、不正行為の摘発と是正につなげられると指摘した。また、第一通報者の情報がカルテル被害者に明らかになった場合、被害者から民事訴訟で訴えられる可能性があると述べ、通報者を不利益から守ることは被害者の保護より重要だとの判断を示した。

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