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2012/2/8

ゲシェフトフューラーの豆知識

病気を持つ採用応募者、仕事に差し障りがある場合は伝える義務あり

この記事の要約

採用面接の際に応募者は病気の有無を雇用主に伝える必要は必ずしもない。また、雇用主の側から病歴を尋ねることは一般平等待遇法(AGG)で禁じられた不当な差別に当たる。だが、仕事に差し障りのある疾患を持つ場合は事情が異なる。こ […]

採用面接の際に応募者は病気の有無を雇用主に伝える必要は必ずしもない。また、雇用主の側から病歴を尋ねることは一般平等待遇法(AGG)で禁じられた不当な差別に当たる。だが、仕事に差し障りのある疾患を持つ場合は事情が異なる。この問題についてヘッセン州労働裁判所が昨年9月に判決(訴訟番号:8 Sa 109/11)を下したので、ここで取り上げてみる。

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裁判を起こしたのはフランクフルト空港で荷物の配送業務を手がける企業に採用された57歳の男性。2009年12月8日付で労働契約を結んだ際、雇用主に対し病気を持っている事実を伏せていたが、勤務開始直後の2010年3月1日になって、健康上の理由から夜間勤務はできないとする医師の診断書を2通、提出した。診断書の日付はそれぞれ1999年6月28日、2005年7月11日となっていた。同男性は2010年4月29日にも新たな診断書を提出、夜間勤務の免除を要求した。

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夜間勤務は労働契約で明確に義務づけられていたため、雇用主は5月7日付で即時解雇を通告した。

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原告はこれを不服として提訴したものの、第1審のフランクフルト労働裁判所で敗訴。第2審のヘッセン州労裁も1審判決を支持した。判決理由で裁判官は、原告は労働契約締結の時点で夜間勤務ができないことを知っていたと指摘。その事実を隠したまま契約したことは卑劣だとしたうえで、雇用主には労働契約の解除を通して自らの利害を守ることが認められると言い渡した。

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