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2012/2/15

経済産業情報

ユニセックス料金の導入で保険業界に混乱

この記事の要約

「性別により保険料率に区別をつけることはEU法に違反する」とした欧州司法裁判所の判決を受けて今年12月末から男女共通の新たな保険料が導入されることを受けて、保険業界に混乱が広がっている。新制度の拠り所となる国内法の整備が […]

「性別により保険料率に区別をつけることはEU法に違反する」とした欧州司法裁判所の判決を受けて今年12月末から男女共通の新たな保険料が導入されることを受けて、保険業界に混乱が広がっている。新制度の拠り所となる国内法の整備が進んでいないたことが原因だ。保険会社は新規契約のみをユニセックス料金の対象とし、既存契約については料率を据え置く方針を示している。7日付『ファイナンシャル・タイムズ(ドイツ版、FTD)』紙が報じた。

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連邦財務省の広報担当者が明らかにしたところによると、政府はユニセックス料金の適用を2012年12月21日以降の新規契約のみとするか、既存契約まで含めるかについて、最終決定を下していない。民間保険大手Debekaのローランド・ヴェーバー社長はFTD紙に対し、「現時点で確定していない以上、既存契約はこれまで通りの料率を継続するしかない」と発言した。

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ただ、新規契約だけにユニセックス料金を導入すると不確定要素が発生し、料率算定が難しいという。

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同紙によると、個人年金保険では大きな問題が起こる。料率算定に当たり、各々の保険商品を選択する男女比を可能な限り正確に予測する必要があるためだ。見通しを大きく誤ると莫大な損失が出る恐れがあり、慎重にならざるを得ない。

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健康保険では被保険者側に契約切り替えの権利があるため、さらに厄介という。ユニセックス料金のほうが有利という理由で既存契約の女性が大挙して料金プランを変更すれば保険料収入が一気に目減りする。Debekaの試算では、同社の女性被保険者全員がユニセックス料金に変更すると1億ユーロ以上の減収となる。また、これまで低料金だった若年層の男性が大幅な負担増を嫌って新制度への切り替え前に旧制度の保険に駆け込み加入する可能性も指摘されている。このため、ユニセックス保険は利用者の大半を女性が占め、料金は従来の女性向けの保険料をわずかに下回る程度にとどまる見通しという。

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