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2012/2/15

ゲシェフトフューラーの豆知識

飲酒運転、労災が適用されるケースも

この記事の要約

通勤途中の交通事故には原則的に労災保険が適用される。では、飲酒運転の場合も適用されるのであろうか。ここではバイエルン州労働裁判所が昨年12月に下した判決(訴訟番号:L 2 U 566/10)に即してこの問題をお伝えする。 […]

通勤途中の交通事故には原則的に労災保険が適用される。では、飲酒運転の場合も適用されるのであろうか。ここではバイエルン州労働裁判所が昨年12月に下した判決(訴訟番号:L 2 U 566/10)に即してこの問題をお伝えする。

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裁判を起こしたのは仕事帰りに飲酒運転で死亡した男性の遺族。同男性は2008年6月11日21時25分、道路わきの樹木に追突しその場で死亡した。22時28分に採血して調べたところ、血中アルコール濃度は0.93パーミルに上っていた。

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飲酒運転が法的に認められるのは血中アルコール濃度0.3パーミル未満(初心者と20歳以下は0.0パーミル)である。このため、労災機関(Berufsgenossenschaft)は遺族が出した労災申請を却下。遺族はこれを不服として提訴した。

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原告は第1審で勝訴、第2審のバイエルン州労裁も1審判決を支持した。判決理由で裁判官は、死亡した男性の血中アルコール濃度は「絶対的な運転不能(absolute Fahruntuechtigkeit)」とされる1.1パーミルを下回っていたと指摘。また、死亡当日の同男性の勤務時間は13.5時間に達していたとして、飲酒が事故の主な原因だったとは言い切れないとの判断を示した。最高裁の連邦労働裁判所(BAG)への上告は認めなかった。

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