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2012/2/22

経済産業情報

電力取引操作で大規模停電発生寸前に?、ネットワーク庁が調査へ

この記事の要約

送電網の監督当局である連邦ネットワーク庁(BNetzA)は全国の電力需要予測担当者に宛てた文書のなかで、今月6日の電力需要予測が「数時間にわたって実需要を下回り続ける」異常事態が生じたことを明らかにした。発電事業者は想定 […]

送電網の監督当局である連邦ネットワーク庁(BNetzA)は全国の電力需要予測担当者に宛てた文書のなかで、今月6日の電力需要予測が「数時間にわたって実需要を下回り続ける」異常事態が生じたことを明らかにした。発電事業者は想定外の需要で供給力の限界に達しており、大規模停電寸前だったと指摘。電力販売業者が需要見通しを操作して不正に利益を得ていた可能性もあるとして、調査に乗り出す方針を打ち出した。同文書を入手したメディアが一斉に報じた。

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電力販売者は発電事業者に対し、顧客に販売(小売)する電力需要予測を予め提出することを義務づけられている。発電事業者はこれに基づいて発電計画を立てるが、発電所の事故や急激な需要の変動など事前に予測できない事態に備えて、蓄電池や揚水発電といった需給制御用の電力(供給予備力)を保有。安定供給体制を整えている。

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メディアが入手した情報によると、この供給予備力で電力不足を補うことを余儀なくされることが今月6日以降、頻繁に起こっており、電力販売者が意図的に需要予測を低く見積り、供給予備力による電力供給を引き起こすことで利益を得たとの疑惑が浮上した。

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背景には通常の発電設備と非常用の供給予備力とでは電力価格が大きく異なることがある。通常の供給力からの電力は電力市場で取引される。2月上旬の記録的な寒波による電力需要急増で、8日のスポット価格は1メガワット時当たり272ユーロと高騰していた。一方、同じ日の供給予備力からの電力はメガワット時当たり100ユーロと低く、代金は電力販売業者に直接請求された。大規模停電のリスクを冒してでもこの仕入れ価格差は魅力だと業界関係者は指摘する。

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