欧州経済の中心地ドイツに特化した
最新の経済・産業ニュース・企業情報をお届け!

2012/3/21

経済産業情報

海上運賃が上昇 し烈な価格競争に歯止めか

この記事の要約

激しい価格競争が続いていた海運業界で運賃が上昇に転じている。ハパックロイドやマースクなどの海運大手が、現行の料金体系では採算がとれないとして相次いで値上げに踏み切ったためだ。英World Container Index社 […]

激しい価格競争が続いていた海運業界で運賃が上昇に転じている。ハパックロイドやマースクなどの海運大手が、現行の料金体系では採算がとれないとして相次いで値上げに踏み切ったためだ。英World Container Index社によると、アジア~欧州ルートの海上運賃は2月末から3月初めの1週で114%上昇。上海からロッテルダム向けの40フィートコンテナ運賃は2月23日の1,276米ドルから3月1日には2,732ドルへとはねあがった。

\

マースクのコンテナ船運営子会社Maersk Lineの営業損益(EBITベース)は昨年、4億8,300万米ドルの赤字となり、前年の黒字(28億2,000万ユーロ)から大きく悪化した。競合のハパックロイドは同1億100万ユーロの黒字を確保したものの、前年の5億8,300万ユーロから5分の1に激減している。

\

業界関係者によると、価格競争の背景にあるのは輸送能力のだぶつきだ。海運事業者の多くは2008年の金融・経済危機以前に争って新コンテナを発注。その後の金融危機による輸送需要減で稼働率が大きく落ち込んだものの、景気回復による需要拡大への期待から発注をキャンセルしなかった。

\

この結果、コンテナ船はこの1~2年で急増。英海運コンサルタント大手Drewryの試算によると、積載能力8,000TEU(20フィートコンテナ換算)以上のコンテナ船の数は今年、前年比で約2~3割増加し、業界の輸送能力は8%拡大する。

\

特に輸送能力を増やしたのは業界最大手マースクで、11年だけで約2割拡大した。同社が稼働率を引き上げるために価格を引き下げ業界2位のMSCも追随したことで、破壊的な値下げ競争が引き起こされたと競合は批判する。

\