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2012/3/21

経済産業情報

中国太陽電池メーカーが人為的に需要引き上げ

この記事の要約

中国の太陽電池メーカーが、過剰な生産能力に対処するためにソーラーパークを国外に建設して需要を人為的に創出するケースが急増している。中国国営銀行から融資を受けてドイツなどで建設プロジェクトを立ち上げ、現地子会社を通して親会 […]

中国の太陽電池メーカーが、過剰な生産能力に対処するためにソーラーパークを国外に建設して需要を人為的に創出するケースが急増している。中国国営銀行から融資を受けてドイツなどで建設プロジェクトを立ち上げ、現地子会社を通して親会社に発注するケースが大半を占めるという。独『ファイナンシャル・タイムズ(ドイツ版、FTD)』紙が複数の業界関係者の情報として報じた。

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同紙によると、世界全体のソーラーセルの生産能力は需要の2倍に達しているため、供給過剰が発生して市場価格は下落。また大量の在庫が生じ各社の経営を圧迫している。2011年に黒字を確保したソーラーメーカーはほとんどなく、中国企業もほとんどが赤字を計上した。

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こうしたなか、投資家やファンドによる出資を「待つ」受け身の姿勢を改め、国営銀行から融資を受けて「自ら需要を生み出す」攻めの姿勢に転じる中国メーカーが増えだした。同国の大手太陽電池モジュールメーカー、晶科能源(Jinko Solar)のアルトゥーロ・ヘレロ取締役はFTD紙に対し、「昨年は1年を通して“ソーラーメーカーが自ら資金を調達した”プロジェクトがあった」ことを明らかにした。

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ドイツの競合企業は、国営銀行の融資を受けた中国メーカーの人為的な需要創出により国内メーカーが壊滅的な打撃を受けると批判する。これに対し晶科のヘレロ取締役は、「中国の銀行の融資金利は約8%で、欧州の銀行よりはるかに高い。しかし、そうした悪条件をのんででもソーラープロジェクトを立ち上げる以外に大量の在庫を処分する術がない」と反論した。

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