ドイツ自動車工業会(VDA)のマティアス・ヴィスマン会長は19日付『フランクフルター・アルゲマイネ』紙とのインタビューのなかで、今年の世界自動車販売台数が前年比で4%成長するとの予測を示した。アジアや北米市場が好調に推移し、欧州の販売減を相殺する見通しのため、欧州域外への輸出比率が高い独メーカーは競合に比べ有利と指摘した。ただ、昨年のような高い成長は見込めず「ハードな年になる」としている。
\VDAの予測によると、米国と中国では販売台数が8%増加し、いずれの市場でも1,300万台を超える。一方、欧州連合(EU)では債務危機の影響で最大5%減少し1,210万台まで落ち込む見通し。
\VDAのヴィスマン会長は、ドイツメーカーの強みとして◇輸出の7割を欧州域外向けが占める◇販売増が見込める北米向けは輸出の7台に1台、中国向けは8台に1台に上る◇高級車が多いため景気変動の影響が比較的小さい――を挙げる。欧州を主な事業基盤とする仏ルノーや伊フィアットにはこうした強みがない。
\同会長は、独自動車産業の足かせ材料として、関税などの貿易障壁を挙げた。「特に新興国で、輸入に制限を設けることで短期的な利益を得ようとする傾向が強まっている」として保護主義の拡大に強い懸念を示したうえで、EUは貿易相手国の不当な関税や非関税障壁の撤廃・引き下げに向けて働きかけ強化する必要があると強調した。
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