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2012/3/21

経済産業情報

自己組織化でマイクロレンズアレイ作成

この記事の要約

炭酸カルシウム(方解石)のマイクロレンズアレイを低コストで簡単に作製する技術を、マックス・プランク・コロイド界面研究所(MPIKG、ポツダム)を中心とする独韓の研究チームが開発した。水酸化カルシウム溶液に非イオン性の界面 […]

炭酸カルシウム(方解石)のマイクロレンズアレイを低コストで簡単に作製する技術を、マックス・プランク・コロイド界面研究所(MPIKG、ポツダム)を中心とする独韓の研究チームが開発した。水酸化カルシウム溶液に非イオン性の界面活性剤を加え、自己組織化によって半球形の方解石結晶を成形。サイズ、形ともに均一の粒子系を合成できるという。

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マイクロレンズアレイは、マイクロレンズを格子状に並べたもの。デジタルカメラのイメージセンサー、液晶ディスプレー、光通信用の光結合素子などに用いられる。マイクロレンズアレイの製作ではレーザーで削って加工していくトップダウン型が主流だが、クリーンルームでの作業が必要など手間がかかる難点がある。

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MPIKG、独コンスタンツ大学、韓国科学技術院(KAIST)、韓国地質資源研究院(KIGAM)の国際研究チームは、クモヒトデの一種で天然のマイクロレンズアレイを持つブリトルスター(Ophiocoma Wendtii)に注目した。ブリトルスターは腕の骨格の部分に、方解石の単結晶からできた数十マイクロメートルサイズのレンズがびっしりと詰め込まれており、これが光を感知する「目」として機能する。ブリトルスターの結晶成長メカニズムは解明されていないものの、研究チームはこの自然のメカニズムに近づくべく、自己組織化による方解石マイクロレンズの作成に取り組んだ。

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チームは水酸化カルシウムの飽和溶液が、二酸化炭素との界面で方解石結晶を析出し、数時間で薄膜を形成することを発見。結晶の形を制御するために、非イオン系界面活性剤で乳化剤として使われるポリソルベート20を溶液に添加したところ、気液界面で均質の半球形結晶が得られた。

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研究の結果は『Nature Communications』誌に掲載された。

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