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2012/3/21

経済産業情報

凍結中の不動産ファンドで投資口の転売活発化

この記事の要約

資金流出の恐れから換金を一時停止中のオープンエンド型不動産ファンドで、投資口を投資家間で取引(転売)する動きが活発化している。ファンド清算を恐れて投資口を手放したい投資家と、凍結解除への期待から買い進める投資家の利害が一 […]

資金流出の恐れから換金を一時停止中のオープンエンド型不動産ファンドで、投資口を投資家間で取引(転売)する動きが活発化している。ファンド清算を恐れて投資口を手放したい投資家と、凍結解除への期待から買い進める投資家の利害が一致した格好で、ハンブルク・ファンド取引所ではCS Euroreal(5月18日まで換金停止)の2月の売買代金が1,830万ユーロ、SEB Immobinvest(同5月5日まで)でも同1,390万ユーロに上った。14日付『フランクフルター・アルゲマイネ』紙が報じた。

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オープンエンド型ファンドは、信託期間が無期限とされているもので、投資家の要求によっていつでも純資産価格(基準価格)で換金(解約)できる。ドイツの不動産ファンドはオープンエンド型が主流を占める。

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ドイツで取引されているオープンエンド型不動産ファンドで大規模な換金停止の波が襲ったのはこれまでに2回ある。1度目はリーマン・ブラザーズの破たんをきっかけに世界的な金融市場の混乱が起きた2008年、2度目は連邦政府がオープンエンド型不動産ファンド規制法案を策定した2010年だ。ファンド市場はこの打撃から回復しておらず、11年末までに7本が清算を決定、今年2月にはKanam Grundinvestも清算を決めた。

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ただ、実際に清算に踏み切っても、投資家が最終的に受ける損失(あるいは利益)は対象不動産の売却が完了して初めて確定する。投資口の転売が活発している背景には、こうした手間と時間を嫌う投資家が増えていることがあるようだ。

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