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2012/3/21

ゲシェフトフューラーの豆知識

ゲルベシャイン提出、期限を大幅に過ぎると即時解雇の理由に

この記事の要約

病気で会社を休む場合、社員はその旨をまず電話などで伝えたうえで、医師が発行した労働不能証明書(通称ゲルベシャイン)を提出しなければならない。これは「祝日および病欠時の給与支払いに関する法律(EntgFG)」5条1項第1文 […]

病気で会社を休む場合、社員はその旨をまず電話などで伝えたうえで、医師が発行した労働不能証明書(通称ゲルベシャイン)を提出しなければならない。これは「祝日および病欠時の給与支払いに関する法律(EntgFG)」5条1項第1文に定められたルールである。ゲルベシャインの提出期限は病休初日から4日目までだが、雇用主はそれよりも早く提出することを要求できる。この決まりに絡んだ訴訟でラインラント・ファルツ州労働裁判所が1月に判決(訴訟番号: 10 Sa 593/11)を下したので、ここで取り上げてみる。

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裁判を起こしたのは2010年1月に屋根ふき会社に就職した重度の障害を持つ社員。病気休業する場合は病欠初日の始業時間までに会社に連絡を入れるほか、ゲルベシャインを同日中に提出することを労働契約で義務づけられていた。

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雇用主は同社員の能力が低いことを受けて、2011年1月に解雇通告した。この際は裁判所の調停で2月15日に解雇を撤回。同社員に対し翌16日の8時に出勤することを要求した。

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だが、同社員は16日も17日も連絡を入れずに欠勤した。このため雇用主は警告文書を17日に送達したが、原告はその後も無断欠勤を続けた。雇用主はこれを受けて、即時解雇への同意を障害者社会統合局に要請。同局の承認を得た3月4日に文書で即時解雇を通告した。原告はこれを不当として提訴した。

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第1審のマインツ労働裁判所バート・クロイツナハ支部は原告の訴えを棄却。第2審のラインラント・ファルツ州労裁も1審判決を支持した。判決理由で裁判官は、原告のゲルベシャインが被告企業に送達された日にちは、原告が警告文書を受け取ってから1週間後の2月24日と極端に遅かったことを指摘。労働契約で義務づけられた病休連絡と労働不能証明義務に著しく違反しており、即時解雇を正当化する「重大な理由」(民法典=BGB=626条1項)に当たるとの判断を示した。

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