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2012/5/2

経済産業情報

送電ネットワークを「自前で敷設」、風力発電業界が提案

この記事の要約

独風力エネルギー全国連盟(BWE)は4月24日、深刻化している送電インフラ不足の解決に向けて風力発電所から超高圧送電網(380/220kV:ネットワークレベル1)に直接接続する専用ケーブルを発電所運営者が自前で敷設するこ […]

独風力エネルギー全国連盟(BWE)は4月24日、深刻化している送電インフラ不足の解決に向けて風力発電所から超高圧送電網(380/220kV:ネットワークレベル1)に直接接続する専用ケーブルを発電所運営者が自前で敷設することを提案した。現在、風力発電所から超高圧電線網への電力供給に利用している高圧配電網(110kV:ネットワークレベル3)は電力需要家への送電にも利用されている関係で規格基準が高く敷設コストが膨らむため、新設が遅れている。超高圧電線網に電力を供給するだけの専用ケーブルであれば、高い設置基準は不要でコストも低くとどまるため普及に弾みがつくとしている。

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ネットワークレベル1では需要家への電力供給は行っていないため、風力発電パークから専用ケーブルで直接接続する場合、需要家への電力安定供給に向けて設定された「N-1基準」を満たす必要はない。このため系統の冗長化などの投資は不要となり、再生可能エネルギー法(EEG)の規定に従って最終消費者に転嫁されるインフラ費用が軽減される。

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BWEが再生可能エネルギーコンサルティング企業のEcofysに委託して実施した実現可能性調査によると、1カ所あるいは複数の風力発電所(ウィンドパーク)からネットワークレベル1に直接接続するケーブルを敷設・運営することは技術的に可能で、1つのケーブルネットワークに接続可能なウィンドパークの出力合計は最大1500メガワットに上るという。

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* N-1基準:電力ライフラインを構成する任意の運用機器(発電装置、送電線など)1つが使用不能になった場合でも、大規模な障害を発生させないための基準。電力系統の多重構成、非常時の負荷許容量を想定した運用目標値の設定、供給予備力の確保などが必要となる。

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