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2012/5/9

総合 - ドイツ経済ニュース

独北部の州議選で与党が過半数割れに

この記事の要約

前回選挙の議席配分に対し違憲判決が出たことを受けて6日に実施された独シュレスヴィヒ・ホルシュタイン州議会選挙で、同州の与党である中道右派のキリスト教民主同盟(CDU)と自由民主党(FDP)は過半数議席を喪失した。これを受 […]

前回選挙の議席配分に対し違憲判決が出たことを受けて6日に実施された独シュレスヴィヒ・ホルシュタイン州議会選挙で、同州の与党である中道右派のキリスト教民主同盟(CDU)と自由民主党(FDP)は過半数議席を喪失した。これを受けてCDUは中道左派の大政党、社会民主党(SPD)との大連立政権樹立に期待をかけているものの、SPDは環境政党・緑の党、デンマーク人の民族政党SSW(南シュレスヴィヒ有権者連盟)との3党連立を優先する意向を示しており、CDUは野党に転落する可能性が高まっている。

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CDUの得票率は前回の31.5%から30.8%へとやや後退、FDPは同14.9%から8.2%へと大きく落ち込んだ。FDPは国政レベルで与党となった09年秋以降、有権者の支持が急速に低下、3月のザールラント州議選では議席を獲得できなかった。

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一方、SPDは今回の選挙で得票率をCDUとほぼ同じ30.4%(前回25.4%)へと拡大、緑の党も12.4%から13.2%へと伸ばした。最左派の左翼党は6.0%から2.2%へと低下し、議席獲得に必要な5%を大きく割り込んだ。

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既存政党に対する国民の不信感を背景に人気急上昇中の海賊党は同州でも8.2%を獲得して議会進出を果たした。また、SSWは同4.6%にとどまったものの、同州の少数民族デンマーク人の政党であるため、得票率5%を議席獲得の条件とするルールが適用されず、議席を確保した。

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各党の新議席数はCDUが22、SPDが22、FDPが6、緑の党が10、SSWが3、海賊党が6で、総議席数は69。CDUとSPDが政権を組めば議席数は44で、過半数(29以上)を大幅に上回り、安定した政権運営が可能になる。一方、SPDと緑の党、SSWの3党からなる連立は議席数が過半数ぎりぎりの計29にとどまるため、造反議員が1人でも出ると、政府法案が成立しない可能性がある。

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シュレスヴィヒ・ホルシュタイン州では2009年に実施された前回州議選の議席配分の是非をめぐる係争で、同州の憲法裁判所が2010年に違憲判断を示し、次期選挙の前倒しと州選挙法の改正を命じた。問題となったのは「超過議席」という議席配分ルールに付随する規則。超過議席は小選挙区における候補者の得票数合計が比例区における得票数を超えた政党にその超過分を比例区の議席配分で加算するルールで、小選挙区の得票数が多い大政党に有利に働く。このため同州では超過議席を得られない政党にも議席を配分し不公平が生じないようにする「相殺議席」規則が導入されている。

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ただ、州選挙法では相殺議席の数が制限されており、前回選挙ではこれが中道右派の与党・キリスト教民主同盟(CDU)に有利に働いた。このため、これを不服とした野党・緑の党などが違憲訴訟を起こしていた。

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州憲法裁はこの訴えを認め、選挙法を2011年3月末までに改正するよう命令。本来2014年9月に予定していた州議選についても2012年9月末までに前倒しで実施するよう言い渡した。

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