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2012/5/9

経済産業情報

紙に印刷した薄型スピーカー、産学が共同開発

この記事の要約

プリンティング(印刷)技術を用いて普通紙に直接スピーカーを印刷することにケムニッツ工科大学などの産学協同研究チームが成功した。印刷に使う紙はコピー用紙のような普通紙でよく、波型や凹凸、曲面などを自由にデザインできる。また […]

プリンティング(印刷)技術を用いて普通紙に直接スピーカーを印刷することにケムニッツ工科大学などの産学協同研究チームが成功した。印刷に使う紙はコピー用紙のような普通紙でよく、波型や凹凸、曲面などを自由にデザインできる。また、表側にはスピーカーだけでなくカラー画像なども一緒に印刷できるため、「音が出るポスター」としての応用も可能という。

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ケムニッツ工科大プリント・メディア技術研究所(pmTUC)などが作成したスピーカーは、導電性ポリマーと圧電動作層を印刷技術で積層する「プリンテッド・エレクトロニクス」という手法を採用している。紙という柔軟性の高い基板上に作成されることから「フレキシブル・エレクトロニクス」とも呼ばれる。印刷というありふれた技術を使うため製造コストを大きく引き下げられるほか、大面積化、省エネ、軽量・薄型化などが可能だ。

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印刷スピーカーは他のスピーカーと同様に、アンプに接続して使用する。pmTUCのゲオルク・シュミット研究員によると、低音域が若干弱いものの、音質は高く、大きな音でも安定して再現できる。また、可聴域を超えた高い周波数の音も再生できるため、超音波センサーとしての応用も考えられるという。

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同スピーカーは連邦教育研究省(BMBF)が支援する「プラスチック・アコースティクス」(PACU)産学協同プロジェクトで開発された。プロジェクトにはpmTUCのほかボッシュ、Heraeus Clovios、X-spex、フラウンホーファー・エレクトロナノシステム研究所(ENAS)が参加。スピーカーの試作品は印刷業界見本市Drupa(デュッセルドルフ、16日まで開催)で紹介されている。

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