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2012/5/30

ゲシェフトフューラーの豆知識

解雇時の有給休暇日数計算には注意を

この記事の要約

社員を解雇する場合、企業は未消化の有給休暇を金銭に換算して当該の被用者に支給しなければならない。これは有給休暇法(BUrlG)7条4項に明記された決まりである。では、企業が有給休暇の日数計算を誤り本来の額よりも多く支給し […]

社員を解雇する場合、企業は未消化の有給休暇を金銭に換算して当該の被用者に支給しなければならない。これは有給休暇法(BUrlG)7条4項に明記された決まりである。では、企業が有給休暇の日数計算を誤り本来の額よりも多く支給した場合は、超過分の返還を要求できるのだろうか。この問題をめぐる係争でケルン州労働裁判所が4月に判決(訴訟番号:9 Sa 797/11)を下したので、ここで取り上げてみる。

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裁判を起こしたのは清掃会社を解雇された元社員。2010年7月30日付の解雇通知書には未消化の有給休暇43日分を金銭に換算して支払う旨が明記されていた。

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雇用主は有給休暇の日数計算に誤りがあったことを解雇通知書の送付後に気付いた。このため、未消化の有給休暇日数は13日だったとして支給額を引き下げようとしたところ、原告の元社員はこれを不当として提訴。有給43日分に金利を加えた額の支払いを要求した。

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第1審のケルン労働裁判所は原告の全面勝訴を言い渡し、第2審のケルン州労裁も1審判決を支持した。判決理由で裁判官は、有給休暇43日分の清算を明記した解雇通知書は債務承認(ここでは43日分の有給休暇を金銭に換算して支払うことの承認)の意思表明に当たると指摘。後になって誤りに気付いたからといって取り消すことはできないとの判断を示した。最高裁への上告は認めなかった。

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