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2012/6/6

総合 - ドイツ経済ニュース

高圧送電網を今後10年で3,800キロ新設

この記事の要約

独送電大手4社は5月30日、今後10年間の高圧送電網敷設計画の基本案を発表した。2022年までに原子力発電を全廃し再生可能エネルギーの発電比率を大幅に高める政府の「エネルギー転換政策」のカギを握る取り組みで、Tennet […]

独送電大手4社は5月30日、今後10年間の高圧送電網敷設計画の基本案を発表した。2022年までに原子力発電を全廃し再生可能エネルギーの発電比率を大幅に高める政府の「エネルギー転換政策」のカギを握る取り組みで、Tennet(送電大手)のマルティン・フックス社長は送電網をいかにすみやかに拡充できるかが同政策の「(実行の)スピードを決定する」と明言した。

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4社はエネルギー転換政策の実現に向けて高圧送電網を新たに3,800キロメートル新設するほか、既存の高圧送電網4,400キロを近代化する考え。新設分のうち2,100キロでは送電ロスの少ない直流高圧送電を採用、残り1,700キロには交流高圧送電を充てる。

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投資費用は既存送電網の近代化も含めて200億ユーロ。このほか、北海とバルト海の洋上風力発電パークと陸地を結ぶ送電網の敷設に120億ユーロを投じる。送電網の投資コストは最終的に電力料金に上乗せされる。

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今回発表した送電網の敷設計画は暫定的なもので、今後は計画に対する市民などの意見を集めたうえで政府が最終計画を作成。議会の承認を経て実施する予定だ。

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計画に対しては敷設予定地の住民と州政府の抵抗が予想される。このため新設する高圧送電網の半分は既存送電網の用地を利用する形で設置する。また、連邦政府は今後、州政府との間で政策調整を行う。

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送電網の拡充を図るのは、主に北部の風力発電パークで生産される電力を南部の主要消費地域に輸送する必要があるためだ。南部地域はこれまで原子力発電への依存度が高かった関係で、原発が廃止されると地域が必要とする電力を地元で賄え切れなくなるという事情がある。

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