解任された会社役員に旅行キャンセル保険金を受給する資格はない――。ミュンヘン労働裁判所が昨年6月の判決(訴訟番号:AZ 233 C 7220/11)でこんな判断を下していたことが、このほど発表されたプレスリリースで分かった。
\裁判を起こしたのは会社の元経営者A。Aは2009年10月、翌年5月に行われるカリブ海周遊ツアーへの参加を妻とともに申し込んだ。その際、念のために旅行キャンセル保険をかけていた。
\同経営者は10年3月に開かれた会社の出資者集会で解任された。これを受け、周遊ツアーへの参加を中止。保険会社に対しツアー料金に相当する額(2,304ユーロ)の保険金支払いを請求した。
\これに対し保険会社は「経営上の理由で雇用主から予期せずに解雇された」場合に保険金を支払うとした保険約款の条項を指摘。経営者であるAはこれに該当しないとして、保険金支払いを拒否した。Aはこれを不服として提訴した。
\第1審のミュンヘン労裁はこの訴えを棄却した。判決理由で裁判官は、原告Aが同氏を解任した企業との間で結んでいた契約は労働契約でなく請負契約だと指摘。請負契約はその性質上いつでも解約できるため、「予期せぬ解約」ということはあり得ないとの判断を示した。
\原告は控訴したもののその後撤回したため、判決は確定した。
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