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2012/7/11

総合 - ドイツ経済ニュース

独企業の資金調達状況が良好

この記事の要約

ドイツ企業の資金調達状況が改善している。独商工会議所連合会(DIHK)が初夏に実施した会員企業アンケート調査によると、融資状況が「良い」との回答は45%に達し、昨年秋の調査の8%から大幅に増加した。質問設定をやや変えたこ […]

ドイツ企業の資金調達状況が改善している。独商工会議所連合会(DIHK)が初夏に実施した会員企業アンケート調査によると、融資状況が「良い」との回答は45%に達し、昨年秋の調査の8%から大幅に増加した。質問設定をやや変えたことが大きく影響しているものの、企業の競争力や財務力の向上もプラス要因となったもようだ。

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資金状況が良いと回答した企業の割合から「悪い」ないし「融資を得られなかった」と回答した企業を差し引いた数値(DI指数)はプラス31となり、昨秋のマイナス8から39ポイント改善した。質問の回答設定が昨年秋までは「改善」「変わらない」「悪化」「融資を得られず/延長されず」となっていたのに対し、今回は「良い」「まずまず」「悪い」「融資を得られず」に変更したため、これまでのアンケートで「変わらない」と回答していた企業の多くが「良い」を選択したという事情がある。

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ただ、そうした事情を差し引いても、欧州債務危機でユーロ圏の企業融資状況が悪化していることを踏まえると、今回の調査で「良い」と「まずまず」の合計(86%)が昨秋調査の「改善」「変わらない」の合計(84%)を上回ったことからは、ドイツの状況が例外的に良好なことがうかがわれる。

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業界別では金融・保険業界の資金状況が最も良好で、DI指数はプラス58に達した。南欧諸国などの金融機関と異なり、資金調達に苦慮していないようだ。

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製造業もDI指数がプラス43と高かった。最も高いのは自動車業界でプラス54を記録。ゴム・樹脂業界もプラス48に達した。家具業界はプラス36、繊維・衣料・革製品業界はプラス40と製造業平均を下回っている。

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不動産業界と流通業界もそれぞれプラス37、プラス36に上り、製造業とともに全業界平均(プラス31)を上回った。また、建設業はプラス23で、平均を下回ったものの、同業界としては高い数値を記録したという。

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DIHKは企業が全般的に資金を調達しやすくなっている理由として(1)内需が旺盛なほか、世界の幅広い地域に輸出を行っているため欧州債務危機の影響が比較的小さく、事業拡大の余地が大きい(2)好決算が続いたことで財務力が高まり銀行融資などを獲得しやすくなった(3)国内銀行の資金力が安定している(4)欧州中央銀行(ECB)の金融緩和政策により市中に資金が大量に供給されている――の4つを挙げた。

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一方、融資条件が悪化した企業ではその理由として「担保不足」を挙げる回答(複数回答可)が最も多く58%を記録。昨秋の52%、昨夏の43%から大きく増加した。債務危機が昨年下半期から一段と深刻化したことで、銀行が貸し倒れリスクに慎重になったもようだ。新たな金融規制の先行きが不透明なこともマイナス要因になっているという。

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貸付金利の引き上げを融資条件の悪化要因として挙げた企業は28%にとどまり、昨年秋の56%から半減した。ECBが昨年12月に金利を史上最低の1.0%に引き下げたことが反映された格好。ECBは今月さらに0.75%へと下げており、金利が企業融資の足かせとなることは一段と少なくなりそうだ。

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