自動車大手のVolkswagen(VW、ヴォルフスブルク)は4日、スポーツ車大手Porscheの事業会社Porsche AGを8月1日付で完全買収する見通しだと発表した。税法上の理由で従来は買収の時期が2014年になるとみられていたが、同年以前であっても納税を回避できる方策を考案したことで早期実現に道が開けた。
\Porsche AGには現在、持ち株会社Porsche SE(PSE)が50.1%、VWが49.9%を出資している。VWはPSEに約44億6,000万ユーロと自社の普通株1株を支払い、同50.1%を譲り受ける。
\VWは当初、PSEを買収して経営統合を実現する計画だった。だが、PSEに対しては独米で株主訴訟が起こされていることから、VWはPSEの買収は財務リスクが大きいと判断、事業会社Porsche AGの買収に方針を切り替えた。
\だが、PSEが手持ちのPorsche AG株(50.1%)を2014年下半期より前に売却すると、同社には巨額の税負担が発生する。PSEはこの負担を回避するために、現金に加えて、VWの普通株1株も取得。これにより、VWとの取引は税法上「売却」でなく「事業再編」と区分されるため、早期に実施しても税負担が発生しない。
\PSEはVW株50.7%を保有し、VWと同じ企業グループに属しているという事情が背景にある。VWへの出資比率(50.7%)は今後も維持する。売却益のうち20億ユーロを銀行融資の返済に充て、残りは自動車関連企業の買収などに回す意向だ。
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