ダウンロード版ソフトウエアのライセンス転売の是非をめぐる係争で欧州司法裁判所(ECJ)は3日、転売は欧州連合(EU)法に抵触しないとの判断を示した。パッケージ版かダウンロード版かを問わず一度販売された以上中古ソフトであることに変わりはなく、メーカーは転売を阻止できないと言い渡した(訴訟番号:C-128/11)。
\同係争は米オラクルが同社製法人向けソフト(ダウンロード版)のライセンスを購入した中古ソフト販売大手usedSoft(ミュンヘン)を相手取って起こしたもの。顧客から譲り受けたオラクルのダウンロード版ソフトのライセンスを転売し、そのライセンスを購入した別の顧客がオラクルのサイトからソフトをダウンロードした。これに対しオラクルは、「ライセンス転売によって顧客にソフトをダウンロード(複製)させており、著作権侵害に当たる」として提訴。独連邦司法裁判所(BGH、最高裁)はEU法にかかわる問題としてECJの判断を仰いでいた。
\ECJの裁判官はコンピューターソフトの著作権保護に関する欧州指令(2009/24/EC)の規定に基づき、知的財産権利者(メーカー)はソフトのライセンスを販売した時点で当該ライセンスの利用を独占的にコントールする権利を喪失する(「権利の消尽」)するため、同権利を根拠に転売を阻止することはできないと指摘。当該ソフトがDVDやCDなどの電子媒体に記録されているか、インターネットからダウンロードされたかは本質的な問題ではないと言い渡した。
\一方、ソフトの販売によって消尽するのはあくまで配布に関する権利であり、ソフトの購入者がインストールしたソフトを削除せずにプログラムを転売したり、オリジナルをコピーして手元に残した場合は権利濫用に当たり、これまで通り著作権法違反になるとした。
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