電力・通信・鉄道網などの監督機関である連邦ネットワーク庁(BNetzA)は2日、ドイツ鉄道(DB)の送電インフラを活用した高圧送電網整備についての鑑定評価報告書を発表した。それによると、DBの架線設備の活用は「技術的に実現可能」なものの、◇コストがかかり過ぎる◇技術が実用レベルに達していない――などの問題があり、実現は難しいという。電力業界関係者は送電インフラ不足解消の切り札として鉄道網の活用に大きな期待を寄せていただけに、冷や水を浴びせられた格好だ。
\ハノーバー大学、ドレスデン工科大学、クラウスタール工科大学がBNetzAの委託を受けて作成した同報告書によると、技術的・鉄道運営などの観点から最も問題が少ないのは鉄道架線に並行して直流高圧送電(HVDC)ケーブルを地下埋設する方式だ。ただ、この方式は今回比較・検討された諸方法のなかでコストが群を抜いて高いほか、岩盤地帯や谷合いなど地理的に敷設できない地域が出る難点がある。
\また、直流高圧送電ケーブルを地下埋設する代わりに、鉄柱を高くして鉄道用送電線と並行して敷設することでコストは下げられるものの、並行敷設に関する技術は開発途上にあり、現時点ではまだ実用レベルに届いていない。
\鉄道用送電線に並行して交流電線を敷設する方法にも、電線間の距離を十分に確保しなければならないという問題がある。電線同士の距離が近いと相互作用により電磁界が発生するためだ。DBの既存インフラでこの方式をそのまま投入できる区間は極めて少ない。
\DBの鉄道用送電線を一般送電線として兼用することは、DBと一般電力網で使用する周波数が異なるため、周波数変換処理が必要になり、技術・コストの両面で有用性が低い。
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