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2012/7/11

経済産業情報

コメルツ銀の方針転換が海運業界に波紋

この記事の要約

独民間銀大手のコメルツ銀行が不動産・船舶向けの新規融資を全面中止すると表明したことを受け、海運業界に動揺が広がっている。独海運事業者連盟(VDR)のラルフ・ナーゲル会長は『ハンデルスブラット』とのインタビューで、「(同行 […]

独民間銀大手のコメルツ銀行が不動産・船舶向けの新規融資を全面中止すると表明したことを受け、海運業界に動揺が広がっている。独海運事業者連盟(VDR)のラルフ・ナーゲル会長は『ハンデルスブラット』とのインタビューで、「(同行は)半月ほど前までは船舶関連業界への融資を重視する姿勢をみせていた」と発言。このまま国内からの投融資が縮小すれば業界は事業を国外に移転せざるを得なくなり、国内産業が空洞化すると警鐘を鳴らした。政策金融機関KfWの融資プログラム拡大などを政府に求めている。

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同会長は、「欧州の銀行が独海運業界から投資を引き上げれば、中国などアジアの投資機関から資金を受けるようになる」と述べ、アジアの投資機関が出資者として船舶の登録国、船舶・部品の調達先の決定で影響力を行使する可能性があると指摘。船舶産業拠点してのドイツは大きな打撃を受け、業界従事者7万5,000人の雇用が危機にさらされると憂慮を示した。

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海運業界の危機的な状況を受け、経済技術省のハンスヨアヒム・オットー政務次官は5日、海運業界に融資を行う金融機関の代表者と会談した。銀行側は同会談で「海運業者、出資者とともに問題解決の道を探る」ことで約束したものの、KfWを通した支援については「根本的な解決にはならない」との見解が大勢を占めたという。

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