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2012/7/11

ゲシェフトフューラーの豆知識

事業所委への社会的選別の理由説明で判決

この記事の要約

経営上の理由で整理解雇を実施する際は「社会的選別(Sozialauswahl)」というルールが適用される。これは社会的に立場が弱い、あるいは責任が重い従業員の雇用を優先するというもので、解雇保護法(KSchG)1条3項に […]

経営上の理由で整理解雇を実施する際は「社会的選別(Sozialauswahl)」というルールが適用される。これは社会的に立場が弱い、あるいは責任が重い従業員の雇用を優先するというもので、解雇保護法(KSchG)1条3項にはその具体的基準として(1)勤続年数(2)年齢(3)被扶養者がいるかどうか、およびその人数(4)重度の障害があるかどうか――という4つが記されている。

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一方、事業所体制法(BetrVG)102条1項第2文には、従業員を解雇する際は従業員の代表機関である事業所委員会(Betriebsrat)に理由を説明しならないと明記されている。この説明義務には社会的選別に関する理由も含まれる。

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では実際のところ、どの程度の説明を行えばよいのだろうか。この問題に関する係争でニュルンベルク州労働裁判所が2月に判決(訴訟番号:8 Sa 342/11)を下したので、ここで取り上げてみる。

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裁判を起こしたのは勤務先の新聞社から経営上の理由による整理解雇を通告された編集者。同編集者には妻と扶養義務のある子供3人がいた。

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被告新聞社は定期購読者数と広告収入の減少を受けて整理解雇の実施を決定。2010年9月17日付の文書で、解雇対象者の氏名や社会的選別の基準となる各人のデータ(勤続年数や扶養家族の数など)、解雇理由を事業所委に通知した。同委は異議を挟んだものの、被告は解雇通告を実施。原告は9月27日付の解雇通知書を同31日に受け取った。

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原告はこれを不当として提訴し、第1審のニュルンベルク労働裁判所で勝訴。第2審のニュルンベルク州労裁も1審判決を支持した。判決理由で裁判官は、雇用主は整理解雇に際し解雇対象者の解雇理由のほか、解雇の対象としなかった被用者についてもその理由を事業所委に説明しなければならないと言い渡した。最高裁への上告は認めなかった。

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