ノンアルコールビール(あるいは麦芽抽出物)にレモネードを混ぜた「ファスブラウゼ」と呼ばれる清涼飲料の人気が急上昇している。ケルシュ(ケルンの地ビール)醸造所のガッフェルが2010年に発売した製品が地元で大ヒットとなったことをきっかけに競合が追随、業界の先陣を切ったガッフェルでは売上全体の約15%を占めるまでに成長したという。ドイツではビール消費量の減少が続いており、メーカーはファスブラウゼに大きな期待を寄せる。8日付『ヴェルト』紙が報じた。
\ファスブラウゼ(Fass“樽”+Brause“シャワー;ラムネ、炭酸レモネード”)は1908年、ベルリンの化学者ルートヴィヒ・ショルヴィエンが「パパのようにビールが飲みたい」と駄々をこねた息子のために考案した炭酸飲料で、麦芽抽出物にリンゴと甘草のエキスを混ぜたものがルーツ。発売当初は樽入りで売られていたことからこの名がついた。
\ビールの販売低迷に頭を痛めていたガッフェルは2010年、ノンアルコールビールにレモネードを混ぜた瓶入りの清涼飲料を「ファスブラウゼ」の商品名で発売した。『ニュルンベルガー・ナッハリヒテン』紙によると、ファスブラウゼの名は冠しているもののオリジナルの復刻を目指したものではなく、「ノスタルジックなネーミングで消費者の郷愁感を誘う」戦略で選ばれた名称だったという。
\発売直後からヒット。販売量は11年が5万5,000ヘクトリットルで、今年は8月中旬時点で前年通期を上回る7万ヘクトリットルに達した。市場調査によると、地元ケルンでは消費者の2人に1人が同商品を知っている。
\ガッフェルの成功を受けて競合も次々にファスブラウゼを発売。現在ではVeltins、Krombacher、Holstenなど12社が販売している。ファスブラウゼの名称は商標保護されてないため、メーカーによってミックスする味は様々だ。当初は競合の追随を苦々しく思っていたガッフェルも「真似されることは市場で認知された証拠。競争によって認知度が上昇し、販売のすそ野が広がる効果がある」と認識を改めている。
\