ドイツの最大野党・社会民主党（SPD）は1日の役員会で、ペーア・シュタインブリュック前財務相を全会一致で次期首相候補に指名した。12月の臨時党大会で正式に選出される見通し。2013年秋に実施予定の連邦議会（下院）選挙で、中道右派のキリスト教民主・社会同盟（CDU／CSU）と自由民主党（FDP）からなるメルケル政権の打破を目指す。
\SPDは次期首相候補をシュタインブリュック氏とガブリエル党首（元環境相）、シュタインマイヤー院内総務（前外相）の3人から選出する方針を打ち出していた。ガブリエル党首とシュタインマイヤー院内総務が辞退したため、シュタインブリュック氏の指名が決まった格好。
\同氏は第1次メルケル政権（2005～09年）で財務相を務め、脱税対策や経済金融危機で優れた手腕を発揮。不動産金融大手ヒポ・リアル・エステートの経営破たん（2008年秋）に際しては公的救済や預金の全額保護などの危機対策を次々と打ち出し、リーマンショックに匹敵する金融危機の発生を防ぐことに成功した。
\ヘルムート・シュミット元首相（SPD）はこうした能力を高く評価、現在のユーロ危機に対処できるのはシュタインブリュック氏だけだとして、次期首相候補として明確な支持を表明してきた。国民の人気も高い。
\ただ、世論調査では同氏を首相として支持する人が36％にとどまり、メルケル首相の同53％を大幅に下回っている。次期連邦議会選挙までの1年間でどれだけ差を縮められるかが注目される。
\ギリシャについては2020年まで財政赤字を自力で圧縮する能力がないとみており、新たな支援が避けられないと指摘。「ギリシャは義務を果たさなければならないが、われわれも同国にもっと時間を与えるべきだ」として、財政再建の期限延長を容認しないメルケル首相と異なる姿勢を打ち出している。
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