ドイツ政府は9月26日の閣議で、金融商品の自動売買規制法案を了承した。コンピューターを利用した自動売買が取引所の売買システムに過度の負担をもたらすとともに、金融市場の不安定化も助長していることを踏まえ、これまで野放し状態にあった同売買に制限を設ける。法案は欧州連合(EU)の金融商品市場指令(MiFID)改正方針をおおむね踏まえた内容で、ドイツは他のEU加盟国に先行する形で規制を導入する。
\自動売買はプログラムにあらかじめ設定した条件に基づいてコンピューターが行う金融商品の取引で、瞬時に大量の売買を実行できる。この結果、取引所のシステムが機能障害を起こすほか、株価などが大きく乱高下する恐れがある。米主要株価指数ダウ・ジョーンズでは2010年5月、わずか数秒内に指数が数百ポイント急落。実体経済とは無関係に数千億ドル規模の価値が失われた。
\政府はこうした事態を回避する考えで、法案には自動売買を行う市場参加者に免許取得を義務づけ、連邦金融監督庁(BaFin)の監督下に置くことを盛り込んだ。国外の市場参加者でもドイツ市場で自動売買を行う場合は免許が必要となる。
\免許制を導入すると、どの市場参加者がどのような行為を行ったかがすべて明らかになるため、問題が起きた場合に原因を明確に把握できるようになる。取引所は市場に不自然な動きがあった場合はシステムの運用を一時停止することを義務づけられる。特定の金融商品の需給について誤った印象を与える売買は市場操作と見なされ、実行者には罰金が科される。
\ドイツが単独で自動売買を規制しても効果は小さいものの、EUのMiFID改正には時間がかかる見通しのため、政府は単独行に踏み切った。
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