ルフトハンザ航空子会社のGermanwingが運行するウイーン発ケルン・ボン空港行きのエアバスA319型機でコックピット内に有毒ガスが流れ込み、機長と副操縦士が意識障害を起こす事故が2010年に起きていたことが、ドイツ連邦航空事故調査局(BFU)が9月27日に公表した中間報告書で明らかになった。副操縦士が操縦不能に陥るなか、機長が「持てる力をふりしぼって」ケルン・ボン空港に着陸できたため、最悪の事態は避けられたとしている。有毒ガス流入の原因はこれまでのところ解明されていない。
\BFUの中間報告書によると、Germanwingsのパイロット2人は10年12月19日夕方、A319型機でウイーン空港からケルン・ボン空港に向かった。当日のケルンは大雪で、予定時間を約4時間遅れの出発だった。
\飛行中は特に問題がなかったが、着陸態勢に入り下降を始めたところ、高度3,000フィート付近でコクピット内に「得体のしれない、強烈で不快なにおい」が流れ込んできた。急激な吐き気や麻痺、意識が喪失するような感覚に襲われた2人は酸素マスクを口に当てて対処。副操縦士は操縦できない状態だったため、機長が全力を尽くして着陸まで持ちこたえたという。
\有毒ガスの発生源は特定しきれていない。BFUは氷結防止材の油分が気化したことが原因の1つと推定しているが、パイロット労組Cockpitの関係者は「氷結防止剤の主成分はアルコール」と指摘し、氷結防止剤が主因とは考えにくいとの考えを示した。
\『シュピーゲル』誌によると、親会社のルフトハンザは11年夏、A319型機のトラブルに関連し、航空燃料の添加物である有毒のTCPが関与していた可能性を内部資料で指摘している。同社は2010年に導入したエアバスのA380機で、客室やコックピット内で不快なにおいがするとの苦情を多数受けており、今回の中間報告との関連性から事態を重視。保有するA380型機全てで改造を行い、エンジン内に残留した油が客室用空調ラインに入り込まないようにすることを決定した。
\