ドイツの公的健康保険の薬剤費支出動向をまとめた『医薬品処方レポート(2012年版)』が9月27日、発表された。それによると、2011年の国内薬剤費支出(連邦保健省調べ)は前年より11億7,000万ユーロ少ない308億7,000万ユーロで、一般医薬品(OTC薬)が患者の自己負担に切り替えられた04年以来、初めて前年を下回った。ただ、高額な特許薬の利用は減少していない。後発医薬品の利用を促進し、既存薬とほとんど効果の変わらない新薬は処方しないなどの取り組みを徹底すれば、医療の質を落とさずに薬剤費をさらに31億ユーロ節約できたという(表を参照)。
\薬剤費支出は減少したものの、公的健保が11年に負担した医療費は2.3%増の1,848億6,000万ユーロに拡大した。最も額が大きかったのは入院治療費で608億3,000万ユーロ(3.7%増)。外来診療費は336億9,000万ユーロ、歯科診療は120億5,000万ユーロだった。
\地域別一般健保組合(AOK)の調査機関WIdOによると、処方件数全体に占める後発医薬品の割合は71.1%(AOK)で、前年から1ポイント増加した。一方、薬剤費支出に占める割合は1.2ポイント減の34.7%に低下しており、件数の少ない特許薬が薬剤費支出を押し上げていることが分かる。
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