スイス政府は13日、国内の住宅用不動産に融資する金融機関に対し9月末から自己資本を積み増すことを命令した。不動産バブルの懸念が高まっているためで、スイス国立銀行(中央銀行、SNB)の勧告に従って対策に乗り出した。
\同国では数年前から住宅不動産投資が活発化しており、不動産価格は過去10年間で平均30%上昇した。上げ幅は特に大都市で大きく、チューリヒでは136%に達している。
\昨年後半からはバブル化の懸念が高まっており、金融大手UBSが11月に発表した2012年第3四半期の不動産バブル指数は前期比0.2ポイント増の1.02となり、「リスク」(0~1=ブーム、1~2=リスク、2以上=バブル)とされる水準に突入した。金融機関は顧客の頭金負担を増やす方向で対応しているものの、十分な効果は表れていない。
\政府はこれを受けて今回の措置を決定。住宅不動産融資に伴い積み立てる自己資本の額を従来よりも1%引き上げることを命令した。政府は最大で同2.5%の積み増しを命じることができる。今回の措置により、銀行業界全体では30億スイスフランを上乗せすることになる。住宅不動産以外への融資は命令の対象となっていない。
\スイスではリーマン破たん直後の2008年から低金利政策が行われている。この結果、住宅金利が下がりマイホームを購入する住民やスイスに移り住む外国人が急増。住宅需要が拡大している。
\不動産市場の過熱対策としては一般的に利上げ政策が取られる。だが、スイスフラン高対策で金利を引き上げられない状況にあることから、政府は銀行に自己資本の増強を命じた。これにより住宅融資コストが上昇するため、住宅ローン金利が上昇して需要に歯止めがかかる効果が期待できる。
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