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2013/4/24

経済産業情報

「石炭輸入で現地労働者への配慮が不十分」

この記事の要約

非政府組織(NGO)のFIANとurgewaldは17日、独電力業界の石炭輸入に関するレポートを発表した。両NGOはレポートのなかで、発電用瀝青炭の主要輸入先であるコロンビアやロシアでは、しばしば現地労働者や住民の人権が […]

非政府組織(NGO)のFIANとurgewaldは17日、独電力業界の石炭輸入に関するレポートを発表した。両NGOはレポートのなかで、発電用瀝青炭の主要輸入先であるコロンビアやロシアでは、しばしば現地労働者や住民の人権が侵害されているほか、環境破壊も行われていると指摘。石炭発電を行うRWE、エーオン、STEAG、EnBWなどの電力大手は輸入先国を公表しないことで企業の社会的責任(CSR)を軽視していることを隠ぺいしている批判し、輸入取引の透明化を要求した。

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FIANとurgewaldが発表したレポート『Bitter Coal:ドイツの瀝青炭輸入』によると、ドイツのエネルギーミックスに占める瀝青炭のシェアは19%で、褐炭(25%)、再生可能エネルギー(20%)に次いで多い。国内炭鉱はコスト高で競争力がなくほとんどが閉鎖に追い込まれており、瀝青炭需要の75%は輸入で賄われている。その6割はコロンビアとロシア産だ。

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コロンビア炭坑の有力な投資企業である米Drummondは数年にわたって準軍事組織に資金を提供していた。同組織は炭坑や輸送設備の警備に当たっていたが、警備に際して数千人を威嚇・駆逐したほか、数百人を殺害したとされる。また、輸出用瀝青炭の主要産地であるシベリアのクズバスでは大気や土壌、飲料水の汚染がひどく、住民の平均寿命は他の地域に比べて明らかに短いという。

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これに対しエーオンの担当者は、「我々は数年前に環境保護や労働者の人権に配慮した厳しいガイドラインを設けており、自社スタッフによる定期的な監査も行っている」と述べ、批判は当たらないと反論した。

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