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2013/5/2

総合 - ドイツ経済ニュース

グローバル化した企業ほど雇用を創出

この記事の要約

欧州経済が低迷するなかでドイツの大手企業は昨年も業績を大きく拡大した。コンサルティング大手アーンスト・アンド・ヤング(E&Y)が4月26日に発表したDAX(ドイツ株価指数)採用企業の業績分析によると、2012年 […]

欧州経済が低迷するなかでドイツの大手企業は昨年も業績を大きく拡大した。コンサルティング大手アーンスト・アンド・ヤング(E&Y)が4月26日に発表したDAX(ドイツ株価指数)採用企業の業績分析によると、2012年の売上高は前年比8%増の計1兆2,952億ユーロに拡大。事業のグローバル化の成果が鮮明に反映された格好で、国外事業比率が高い企業ほど成長率が大きく、雇用の創出にも貢献している。

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売上成長率を地域別にみると、ドイツ国内は4%と平均(8%)を下回り、ドイツを除く欧州も6%にとどまった。一方、欧州域外は15%と極めて高い。DAX企業が新興国や米国で売り上げを大きく伸ばしたことがうかがわれる。

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地域別の売上比率は欧州域外が前年の39%から41%に拡大。ドイツとドイツを除く欧州はそれぞれ1ポイント減の26%、1ポイント減の33%に低下した。

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国外売上比率が75%を超える企業(18社)では売上成長率が12%に達し、DAX企業平均を大きく上回った。75%未満の企業は半分の6%止まり。ドイツ国内と欧州市場への依存度が高いため、ユーロ危機に伴う経済低迷の影響を強く受けているようだ。

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国外売上比率が最も高い企業は人工透析器のFMCで97%に達した。これにスポーツ用品のアディダス(同95%)、化学・製薬のメルク(92%)、建材のハイデルベルクセメント(92%)、工業ガスのリンデ(91%)が続く。自動車や化学などの分野の企業も同比率が高い(グラフ参照)。

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国内依存度が高いのは公益、金融・保険関係の企業で、エネルギー大手のRWEとエーオンは国内売上比率がそれぞれ54%、43%に達した。

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DAX30社の昨年末時点の雇用規模は366万人(フルタイム勤務換算)で、前年から3.1%増加した。増加幅は国外が3.4%で、国内の2.9%を上回っている。

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雇用規模は国外売上比率75%超の企業で7%増加したのに対し、75%未満の企業では1%減少した。ドイツ国内の雇用も75%超の企業は8%増、75%未満の企業は2%減となっており、グローバル化の度合いが高い企業は雇用創出力が高いことが分かる。E&Yのパートナーは「トップ企業の国外事業強化と成長市場への投資拡大は国内の雇用を危険にさらすという現在も広くはびこっている見解は明らかに誤りだ」と指摘した

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