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2013/5/15

総合 - ドイツ経済ニュース

税収記録、今年も更新の見通し

この記事の要約

ドイツ経済は国際競争で中期的に有利な立場に立っているようだ。国内総生産(GDP)の成長率は昨年から鈍っているものの、税収は今後も過去最高の更新が続く見通しで、増税の必要性は低い。経済成長の足かせ懸念である労働力不足につい […]

ドイツ経済は国際競争で中期的に有利な立場に立っているようだ。国内総生産(GDP)の成長率は昨年から鈍っているものの、税収は今後も過去最高の更新が続く見通しで、増税の必要性は低い。経済成長の足かせ懸念である労働力不足についても、不況にあえぐ南欧諸国などからの流入である程度、緩和されるとみられる。

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税収見積もり委員会は8日、地方を含むドイツ全体の中期税収予測を発表した。それによると、税収額は今年、前年比2.5%増の6,152億ユーロに拡大し、3年連続で過去最高を記録する見通し。来年以降も14年が3.8%、15年が3.7%、16年が3.3%、17年が3.0%伸びて、17年には7,045億ユーロに達する見込みだ(グラフ参照)。

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税収見通しは名目GDP成長率予測を踏まえて算出した(税収予測はインフレ率を加味した実質ベースでなく名目ベースのGDPをもとに算出する)。同成長率予測は今年が2.2%、来年が3.3%、その後は3.0%と現実的な数値で、実際にはこれよりも高くなる可能性も十分にある。

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秋の連邦議会(下院)選挙を控え、野党・緑の党は富裕者税の導入を政権公約として打ち出したが、税収見積もり委の試算を踏まえると「国には十分な資金があり」(ドイツ産業連盟)、景気のマイナス要因となる増税をあえて行う必要性は低い。これは財政再建に向けて増税と大幅な緊縮が避けられない他の欧州諸国に対するドイツの強みだ。

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経済成長と少子高齢化の進展を受けて、ドイツでは近い将来、完全雇用が実現するとの見方が専門家の間で強まっている。その場合、労働力不足が経済成長の足かせとなる可能性がある。すでに数学、IT、自然科学、工学のいわゆる「MINT」系専門職では人材不足が深刻化しており、12~20年には不足数が計140万人に達するとの指摘もある。

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専門人材の不足を完全に解消するのは難しいものの、南欧諸国を中心に欧州では失業率が高く、ドイツはすでに官民がリクルート活動を展開している。特に「金の卵」とも言うべき若者の失業率が高いことはドイツ経済にとって大きなプラス材料だ。

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25歳未満の失業率(13年3月)をみると、ドイツは7.6%にとどまり、EU平均の23.5%を大きく下回る。これに対しギリシャは59.1%、スペインは55.9%、イタリアは38.4%、ポルトガルは38.3%と極めて高い水準に達している。

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