同僚にけんかを仕かけた社員の解雇をめぐる係争で、ケルン州労働裁判所が昨年11月に判決(訴訟番号:11 Sa 412/12)を下した。ここで取り上げてみたい。
\原告は被告企業(メーカー)に勤務していた正社員。同社員は2011年9月27日、会社の敷地前で契約社員Bにけんかを仕かけ、両者は怪我を負った。雇用主はこれを受け、Bの雇用契約を延長せず契約通り11月15日付で失効させた。一方、原告については翌9月28日付の文書で即時解雇を通告した。原告はこれを不当として、解雇無効の確認を求める裁判を起こした。
\第1審のボン労働裁判所は原告の訴えを棄却。第2審のケルン州労裁も1審判決を支持した。判決理由で裁判官は、雇用主には(1)被用者がけんかを行わないように配慮する(2)けんかによって社員間の協働が損なわれないようにするほか、怪我で社員が勤務できなくなるような事態も回避する(3)けんかを行った社員に人事上の措置を発動しない場合、他の社員と社内秩序が受ける影響を考量する――義務があると指摘。この3点を踏まえると、けんかを仕かけることで社内の雰囲気を著しく害した原告を即時解雇することは妥当だとの判断を示した。最高裁への上告は認めなかった。
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