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2013/6/5

ゲシェフトフューラーの豆知識

病休中の転職活動、解雇は妥当か

この記事の要約

社員が転職に向けて活動してもそれを理由に解雇することはできない。憲法(基本法)12条で職業選択の自由が保障されているためだ。最高裁の連邦労働裁判所(BAG)の判決(訴訟番号: 2 AZR 190/07)では、解雇できるの […]

社員が転職に向けて活動してもそれを理由に解雇することはできない。憲法(基本法)12条で職業選択の自由が保障されているためだ。最高裁の連邦労働裁判所(BAG)の判決(訴訟番号: 2 AZR 190/07)では、解雇できるのは転職活動にかまけて就労義務をおろそかにした場合に限られるとの判断が示されている。では、社員が病気休業期間中に転職活動を行った場合は解雇できるのだろうか。この問題をめぐる係争でメクレンブルク・フォーポマーン州労働裁判所が判決(訴訟番号:5 Sa 106/12)を下したので、取り上げてみる。

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裁判を起こしたのは被告企業のリハビリ部門の統括責任者。右手が自由に動かない障害を持っており、2011年8月8日から24日までの期間について、医師の証明書(労働不能証明書)を添えて病欠届けを出していた。

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雇用主との関係が悪化していたため、自治体系の有限会社の社長ポストに応募したところ、書類審査を通過し、病欠期間中の2011年8月22日に面接におもむいた。この事実を翌日の新聞報道で知った被告雇用主は信義義務に反するとして、24日付で原告に即時解雇を通告した。原告はこれを不当として提訴した。

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第1審は原告勝訴を言い渡し、第2審のメクレンブルク・フォーポマーン州労裁も1審判決を支持した。判決理由で裁判官は、◇面接に行くことで原告の病気が悪化する◇原告が病休を不正取得した――のどちらかに該当していれば解雇は妥当だが、被告雇用主はそうした事実を立証できなかったとの判断を示した。最高裁への上告は認めなかった。

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