シュレスヴィヒ・ホルシュタイン州のブルンスビュッテル原子力発電所(07年から運転停止)に併設された使用済み核燃料中間貯蔵施設をめぐる係争で、シュレスヴィヒ・ホルシュタイン州行政裁判所(OVG SH:高等裁判所)は19日、同施設の使用許可を取り消す判決を下した(訴訟番号:4 KS 3/08)。非常時を想定した安全性評価が不十分にしか行われていないなど、連邦放射線防護庁(BfS)の認可手続きに不備があったためとしている。
\BfSは2003年11月、ブルンスビュッテル使用済み核燃料中間貯蔵施設の使用を許可。同原発で発生した使用済み核燃料を専用のドライキャスクに密封したうえで、最初のドライキャスクが保管された日から起算して最高40年間、最大80本の貯蔵を認めた。
\これに対し原告住民は、「認可手続きではA380のような大型ジェットが墜落した際の安全性が十分に審査されていない」などとして04年2月に認可取り消しを求める裁判を起こした。OVG SHは07年1月、男性の訴えを退ける判決を下したが、連邦行政裁判所(最高裁)は08年4月、前審判決を無効として審理を差し戻していた。
\OVG SHの裁判官はBfSによる安全性評価について、◇A380墜落というシナリオでは、検証可能なデータがあったにもかかわらずBfSは同リスクに対する安全評価を行っていない◇第3世代ジェット戦闘機による攻撃というシナリオでは、1992年の旧型機のみを評価の対象としており、より大きな破壊力を持つ新型機が考慮されていない――などと指摘したうえで、当該中間貯蔵施設が十分な安全性を備えているという確証は得られなかったと言い渡した。
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