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2013/7/10

ゲシェフトフューラーの豆知識

人員整理時の「社会的計画」、契約社員への適用除外は不当

この記事の要約

企業が経営上の理由で人員削減を行う場合、労使が協議して「社会的計画(Sozialplan)」というリストラ計画を策定する。その目的は解雇される被用者の経済的なデメリットを緩和することにある。では、人員削減を行わなくても契 […]

企業が経営上の理由で人員削減を行う場合、労使が協議して「社会的計画(Sozialplan)」というリストラ計画を策定する。その目的は解雇される被用者の経済的なデメリットを緩和することにある。では、人員削減を行わなくても契約期限を迎えれば雇用関係が解消される有期契約社員を社会的計画の適用対象から外すことは許されるのだろうか。この問題に関する係争でバーデン・ヴュルテンベルク州労働裁判所が昨年12月に判決(訴訟番号:12 Sa 119/12)を下したので、ここで取り上げてみる。

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裁判はスナック菓子メーカーでホテルや飲食店に製品を配達する業務に従事していた有期契約社員が同社を相手取って起こしたもの。原告社員は2006年9月から被告企業に勤務し、雇用契約は何度も更新されてきた。

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被告は11年1月、原告が勤務する部署を12年3月末で廃止することを決定。これに伴い、原告との契約も12年3月末で打ち切ることを両者の合意で取り決めた。

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同部署の閉鎖決定を受けて、雇用主は従業員代表の事業所委員会(Betriebsrat)と共同で社会的計画を作成。同計画のなかには11年8月1日から12年3月末まで当該部署で勤務する社員に特別手当を支給する取り決めが盛り込まれた。早々に転職せずに最後まで勤務する社員への報償という意味合いの手当である。

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だが、この手当の支給対象は正社員に限られており、原告には支払われなかった。原告はこれを不当として提訴。第2審のバーデン・ヴュルテンベルク州労裁は原告の訴えを認め、原告に同手当を支給することを被告企業に命じた。判決理由で裁判官は、正当な根拠がない限り契約社員の待遇を正社員よりも悪くすることを禁じた「パートタイムと有期労働契約に関する法律(TzBfG)」4条2項第1文の規定を指摘。当該部署で勤務する社員に特別手当を支給する目的は同部署の運営を最後まで維持することにあり、契約社員に支給しないことを正当化する根拠はないと言い渡した。

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