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2013/7/3

ゲシェフトフューラーの豆知識

「ダイナミックなチームでの仕事」は年齢差別に当らず

この記事の要約

求人広告を出す場合は文面に細心の注意を払わなければならない。うかつなことを書くと、一般平等待遇法(AGG)で禁じられた差別に当るとして、損害賠償訴訟を起こされるからだ。では「ダイナミックなチームでの仕事」という表現はそう […]

求人広告を出す場合は文面に細心の注意を払わなければならない。うかつなことを書くと、一般平等待遇法(AGG)で禁じられた差別に当るとして、損害賠償訴訟を起こされるからだ。では「ダイナミックなチームでの仕事」という表現はそうした差別に当るのだろうか。この問題をめぐる係争でシュレスヴィヒ・ホルシュタイン州労働裁判所が判決(訴訟番号:2 Sa 217/12)を下したので、ここで取り上げてみる。

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裁判を起こしたのは1961年生まれのロシア系IT技術者。同技術者は2011年、IT技術者を募集する被告企業の求人広告に応募したが、採用されなかった。求人広告には「モチベーションが高くダイナミックなソフトウエア開発者のチームでの仕事」との表現があった。原告は文面中の「ダイナミック」という言葉を高齢労働者差別ととらえ、AGGに基づく損賠請求訴訟を起こした。

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第1審のリューベック労働裁判所は原告の訴えを棄却、第2審のシュレスヴィヒ・ホルシュタイン州労裁も1審判決を支持した。判決理由で裁判官は、文中に「若い」あるいは年齢制限を示す言葉があれば差別に当たるが、「ダイナミック」という言葉自体には差別の要素がないとの判断を示した。最高裁への上告は認めなかった。

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