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2013/7/31

ゲシェフトフューラーの豆知識

パート勤務への切り替え、シフト勤務でも請求権あり

この記事の要約

被用者が勤務時間の短縮を申請した場合、雇用主は経営上の理由がない限り拒否できない。これは「パートタイムと有期労働契約に関する法律(TzBfG)」8条4項第1文に記されたルールである。このルールに関する係争でケルン州労働裁 […]

被用者が勤務時間の短縮を申請した場合、雇用主は経営上の理由がない限り拒否できない。これは「パートタイムと有期労働契約に関する法律(TzBfG)」8条4項第1文に記されたルールである。このルールに関する係争でケルン州労働裁判所が1月に判決(訴訟番号:7 Sa 766/12)を下したので、ここで取り上げてみる。

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裁判はマシンオペレーターとして工場に勤務する従業員が雇用主を相手取って起こしたもの。同従業員は2年間の育児休暇の取得後に職場復帰するに当たり、フルタイム勤務からパートタイム勤務への変更を申請した。希望の勤務時間は月曜から金曜日の各9~14時となっていた。

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これに対し雇用主は、希望に従うと同従業員の都合に合わせたシフト体制を導入しなければならず、生産の遅延につながると指摘。受け入れを拒否した。原告はこれを不服として提訴した。

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1審のボン労働裁判所は原告の訴えを認め、2審のケルン州労裁も1審判決を支持した。判決理由で裁判官は、パート勤務を受け入れるためには組織のあり方に手を加えることが必要不可欠だと指摘。そうした事情を踏まえると、被告雇用主が示した拒否の理由には十分な説得力がないとの判断を示した。最高裁への上告は認めなかった。

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