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2013/8/7

総合 - ドイツ経済ニュース

独企業業績、4-6月期に悪化

この記事の要約

ドイツ企業の業績が悪化している。最近、相次いで発表されている4-6月期決算をみると、多くの企業で利益が減少。業績見通しの下方修正も目立つ。ただその一方で、これまで世界経済の足かせとなってきた欧州経済にはかすかな薄日が差し […]

ドイツ企業の業績が悪化している。最近、相次いで発表されている4-6月期決算をみると、多くの企業で利益が減少。業績見通しの下方修正も目立つ。ただその一方で、これまで世界経済の足かせとなってきた欧州経済にはかすかな薄日が差してきた。また、ドイツの企業景況感と消費者景況感は依然として高水準を保っており、独経済が急速に悪化するリスクは低いようだ。

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業績の悪化は景気動向のバロメーターである素材系メーカーで目立つ。化学大手のBASFは4-6月期の営業利益(EBIT、特別要因を除く)が前年同期比5.4%減の18億3,200万ユーロに縮小。化学品と高性能製品部門に限ると減益幅はそれぞれ17.6%、10.9%に達した。競合バイエルは製薬、農薬部門が好調だったため営業利益(EBITDAベース)が33.9%増の20億8,600万ユーロと大きく拡大したものの、樹脂部門は13.3%落ち込んだ。特殊化学大手のエボニクは2013年の業績見通しを下方修正。合成ゴム世界最大手のランクセスも14年の営業利益目標を撤回した。

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金属メーカーでは銅製錬大手のAurubisが4-6月期の税引き前損益で3億3,600万ユーロの赤字へと転落。鉄鋼大手のザルツギターは13年の税引き前損失が従来予測の1億ユーロ未満から4億ユーロに膨らむとの見通しを明らかにした。

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自動車メーカーも本業のもうけを示す営業利益が減少しており、フォルクスワーゲン(VW)は4-6月期にグループ全体で11.6%の減益となった。将来に向けた投資のほか、低迷する欧州市場で割引販売を強化したことが響いた。

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業界団体では独化学工業会(VCI)が今月中旬、独業界の2013年売上成長率予測を従来の2.0%から1.5%へと下方修正。ドイツ機械工業連盟(VDMA)も独業界の2013年の実質生産成長率を従来予測のプラス2%から同マイナス1%に引き下げた。

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ユーロ圏は底打ち感

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そうしたなかで、ドイツ経済にとって最も重要なユーロ圏の景気が最悪期を脱したことを示唆するデータが出始めている。金融情報サービス大手のマークイットが5日発表した7月のユーロ圏購買担当者景気指数(PMI)は50.5(改定値)となり、前月の48.7から1.8ポイント上昇した。景気拡大・縮小の節目となる50を超えるのは1年6カ月ぶり。特に製造業で改善幅が大きかった。マーキットのエコノミストはユーロ圏が第3四半期に景気後退局面を脱するとの見方を示した。

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景気の底打ち感はユーロ危機の震源地である南欧諸国でも出ている。イタリアの第2四半期の国内総生産(GDP)は前期比0.2%減となり、8四半期連続で後退したものの、減少幅は第1四半期の同0.6%から大きく縮小。鉱工業生産指数も前月比で0.3%増加し、2カ月連続で上昇した。

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スペインもGDPの減少率が0.1%まで縮小した。国際通貨基金(IMF)は第3四半期にわずかながらプラス成長に転じると予想している。

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フランスは自国のGDP成長率が4-6月期に0.2%となり、3四半期ぶりにプラス成長へと転じるとみている。

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世界経済をみると、BRICs4カ国(ブラジル、ロシア、インド、中国)で景気が減速している。それに伴い生じる穴をドイツ企業は他の市場の開拓を通してある程度、相殺しているもようで、VDMAのエコノミストは『南ドイツ新聞』に対し、機械メーカーは中国市場の成長鈍化を受けて東南アジア諸国連合(ASEAN)や北米、アフリカ事業を強化していることを明らかした。中国経済の成長率が低下しても独業界の生産成長率予測をさらに下方修正する必要はないとしている。

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ドイツの個人消費は堅調を保っており、市場調査大手GfKは今年、実質ベースで1%拡大すると予想。経済成長のけん引車になるとみている。

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