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2013/8/7

企業情報

K+S AG―事業環境が急速に悪化―

この記事の要約

独肥料大手K+S(カッセル)の経営に突然、黄色信号が灯りだした。ロシアの競合Uralkaliが拡販路線を打ち出し、カリの市場価格が近い将来、大幅に下落する見通しとなったためだ。K+SはUralkaliよりも事業規模が小さ […]

独肥料大手K+S(カッセル)の経営に突然、黄色信号が灯りだした。ロシアの競合Uralkaliが拡販路線を打ち出し、カリの市場価格が近い将来、大幅に下落する見通しとなったためだ。K+SはUralkaliよりも事業規模が小さく、価格競争力が弱いため、市場には「生き残れない」との見方も出ている。

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Uralkaliは7月30日、ベラルーシの同業Belaruskaliとのカリ合弁販社Belarusian Potash Company(BPC)から撤退し、今後は販売事業を単独で進めていく方針を打ち出した。中国、インドを中心に販売規模を大幅に増やす意向で、ボームゲートナー社長はカリの市場価格が現在のトン当たり400ドルから下半期中に300ドル未満に下落するとの見方を示した。

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K+Sは11年、カナダの鉱山会社Potash Oneを3億1,000万ユーロで買収し、サスカチュワン州のカリ鉱山の採掘権を取得した。17年から年200万トンを採掘する計画。投資額は計30億ドルに上る見通しで、すでに10億ドルを投じた。だが、採算ラインはトン当たり420ドルと高く、市場価格が300ドル未満に下がると採算が取れなくなる。市場には同プロジェクトの凍結が避けられないとの見方がある。

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こうした事情を背景に同社の株価は30日から8月3日までの間に約30%急落。時価総額は15億ユーロ減の36億ユーロまで下がった。株価はその後も低下しており、DAX(ドイツ株価指数)の対象銘柄から外されるのは時間の問題とみられている。

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