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2013/8/7

経済産業情報

ブルーカード発行から1年、移住数は2500人

この記事の要約

高い技能を持つ欧州連合(EU)域外の労働者にEU共通の労働許可証を発行する「ブルーカード」制度がドイツで導入されてからこの1日で1年を迎えた。連邦移民・難民庁(BAMF)によると、12年8月~13年6月末に発行されたブル […]

高い技能を持つ欧州連合(EU)域外の労働者にEU共通の労働許可証を発行する「ブルーカード」制度がドイツで導入されてからこの1日で1年を迎えた。連邦移民・難民庁(BAMF)によると、12年8月~13年6月末に発行されたブルーカード(速報値)は8,879枚に上り、政府の当初の予測(3,500枚)を大きく上回った。ただ、取得者の7割以上は以前から国内に在住していた滞在資格(ステータス)の切り替え者で、取得後に初めてドイツに移住したのは約2,500人にとどまった。

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ブルーカード制度は09年に採択されたEU指令を国内法に転換するもので、域外の技能労働者が簡単に移住できる環境を整え、医師、看護師、エンジニアなどの人材不足を緩和する狙いがある。ドイツは昨年7月まで、EU域外の移民に入国当初から永住権を付与する場合、職種に関係なく年収(税・社会保険料込)6万6,000ユーロ以上を条件としてきたが、EU指令を踏まえて基準を緩和。◇大卒で年間給与が4万4,800ユーロ以上◇エンジニア、ICT専門家、医師など特に人材不足が著しい職種の有資格者で年間給与が3万4,900ユーロ以上――のどちらかの条件を満たせば付与するようにした。政府は今年4月には、大卒資格を必要としない他の分野のうち人材不足が特に深刻化している職種についても門戸開放の方針を打ち出した。

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ブルーカード取得者を出身国別でみると、最も多いのはインドで、1,971人に上った。2位は中国(775人)、3位はロシア(597人)で、シリア、米国も多い。

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移民全体に占めるブルーカード取得者はごくわずかだ。BAMFによると、12年にドイツに移住したEU域外からの外国人は16万4000人で、このうち就学・学生ビザは4万2,000人、労働ビザは3万2,000人、家族ビザは5万人だった。

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