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2013/8/7

ゲシェフトフューラーの豆知識

整理一時金、年金受給間近であれば小額でも合法=最高裁

この記事の要約

企業が経営上の理由で人員削減を行う場合、高齢社員の整理一時金を他の社員よりも低くすることができる。これについては4月20日号に掲載した本コラムですでにお伝えした。今回は同様の係争で最高裁の連邦労働裁判所(BAG)が3月2 […]

企業が経営上の理由で人員削減を行う場合、高齢社員の整理一時金を他の社員よりも低くすることができる。これについては4月20日号に掲載した本コラムですでにお伝えした。今回は同様の係争で最高裁の連邦労働裁判所(BAG)が3月26日に下した判決(訴訟番号:1 AZR 857/11)を取り上げてみる。

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裁判は整理解雇の対象となった高齢社員が雇用主である企業を相手取って起こしたもの。同社は外交販売部署を2009年7月1日付で廃止することを決定したため、事業所委員会と協議して社会的計画(リストラ計画)を策定した。

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整理一時金については月給(支給額ベース)に金属年収と係数をかけた額とすることが取り決められた。係数は年齢によってことなっており、30~39歳は0.7、40~45歳は0.8、46~50歳は0.9、51~59歳は1.0、60~62歳は0.3、63歳以上は0となっていた。労使はまた、整理一時金を最低でも月給の2カ月分は支給することも取り決めた。

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原告は当時64歳だったため、整理一時金の額が月給の2カ月分(1万650ユーロ)にとどまっていた。原告はこれを不当として提訴、51~59歳の基準に従って(係数を1として)一時金を支給するよう要求した。

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1審と2審は原告の訴えを棄却。最高裁のBAGも下級審判決を支持した。判決理由で裁判官は、年金受給が近い将来可能な社員の整理一時金を低く設定することは高齢者差別に当らないとした一般平等待遇法(AGG)10条第3文6項の規定を指摘。63歳以上の解雇対象者は失業保険金を受給した後に少なくとも年金の早期年金を受給できるようになるとして、労使が作成した社会的計画に問題はなかったとの見方を示した。

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