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2013/8/21

経済産業情報

独自動車メーカー、「中国独自ブランド」に消極的

この記事の要約

ドイツの自動車メーカーが中国の現地メーカーと共同で立ち上げた“中国ブランド”の製品開発に消極的になっている。中国政府が合弁によって先進国からの技術移転を目指しているためで、独メーカーは製品開発から生産に至るまでの技術供与 […]

ドイツの自動車メーカーが中国の現地メーカーと共同で立ち上げた“中国ブランド”の製品開発に消極的になっている。中国政府が合弁によって先進国からの技術移転を目指しているためで、独メーカーは製品開発から生産に至るまでの技術供与を半ば強制されることを強く警戒している。19日付『フランクフルター・アルゲマイネ』が報じた。

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フォルクスワーゲン(VW)は2011年、中国の提携先である第一汽車(FAW)と電気自動車ブランド「開利」(Kaili)を設立。上海汽車(SIAC)との間でもEVブランド「Tantus」を立ち上げた。しかし、VWの広報担当者は「初のモデル投入の時期は全く決まっていない」とコメントするにとどめている。

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ダイムラーも提携先のBYDとともにEVブランド「Denza」を立ち上げた。発売は14年としているものの、詳細については言葉を濁す。

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BMWは華晨中国汽車(Brilliance)と立ち上げた「Zinoro」を少量生産のプレミアムブランドと位置づけている。BMWモデルと直接、競合しないようにする戦略という。

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経済の急成長が続く中国はドイツの自動車メーカーにとって最も重要な市場だ。デュースブルク・エッセン大学自動車リサーチセンター(CAR)によると、VW、ダイムラー、BMWの2013年上半期の世界販売台数550万台のうち、中国市場はほぼ3分の1を占めた。13年通期では欧州連合(EU)全体の販売台数をしのぐ見通しだ。

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現地メーカーとの中国独自ブランド立ち上げは、中国政府の強い意向で進められたもので、独メーカーにとっては政府の報復をかわし中国市場で販売を続けるために「嫌でもやらされる強制練習」(VW関係者)といった趣きだ。メーカーは窮余の策として、中国合弁ブランドにやや型落ちの技術を搭載し、最先端技術は投入しないことでしのぎたい考えだが、品質的に見劣りのする製品を作っていることが欧州のユーザーに知られれば本家ブランドのイメージダウンにもつながりかねず、ジレンマが続いている。

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