病欠中の社員が街中で体を使った作業を行っているのを目撃した場合、上司などがこれを撮影することは法的に認められるのだろうか。この問題をめぐる係争で、ラインラント・ファルツ州労働裁判所が11日に判決(訴訟番号:10 SaGa 3/13)ので、ここで取り上げてみる。
\裁判はメーカーの工場勤務社員が直属の上司と主任を相手取って起こしたもの。同社員は2013年2月25日~3月13日の期間、ホームドクターから労働不能証明書(通称ゲルベシャイン)の発行を受けた。また、これとは別に3月12~27日の期間、神経科の医者からゲルベシャインの発行を受けた。この間、勤務はしていない。
\病休中にも関わらず同社員は3月16日、A市の洗車場で車の洗浄を行った。その場面をたまたま見かけた上司は、同社員が元気なことに驚くとともに、携帯電話のカメラでその様子を撮影した。両者はその場で口論。これが取っ組み合いに発展したことを受け、雇用主は同社員に即時解雇を通告した。
\同社員はこれを不当として解雇取り消しを求める裁判を起こすとともに、写真撮影は人格権の侵害に当たるとして、撮影禁止と撮影した写真の引き渡しを求める訴訟を起こした。
\後者の訴訟では第1審のカイザースラウターン労働裁判所が原告の申請を棄却。2審のラインラント・ファルツ州労裁も1審の判断を支持した。判決理由で裁判官は、仮病で休業した具体的な疑いがある場合、当該社員の撮影は許されるとの判断を示した。上告は認めなかった。
\撮影した写真を解雇訴訟の裁判証拠として認めるかどうかについては同訴訟で決定する事柄だとの立場を示した(解雇訴訟は係争中)。
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