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2013/9/18

総合 - ドイツ経済ニュース

バイエルン州議選で中道右派CSUが大勝 単独過半数議席獲得、国政では大連立も

この記事の要約

独南部のバイエルン州で15日、州議会選挙が行われ、中道右派のキリスト教社会同盟(CSU)が得票率を大きく伸ばし、過半数議席を単独で制した。これまで連立を組んできた自由民主党(FDP)は議席獲得に必要な5%の得票率を大幅に […]

独南部のバイエルン州で15日、州議会選挙が行われ、中道右派のキリスト教社会同盟(CSU)が得票率を大きく伸ばし、過半数議席を単独で制した。これまで連立を組んできた自由民主党(FDP)は議席獲得に必要な5%の得票率を大幅に下回り、議席を喪失。FDPは1週間後の22日に行われる連邦議会選挙(国政選挙)でも5%を確保できるかが危ぶまれており、連邦議会選の結果次第ではキリスト教民主・社会同盟(CDU・CSU)と中道左派の社会民主党(SPD)からなる大連立政権が成立する可能性もある。

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バイエルン州議選でCSUは得票率を47.7%とし、2008年の前回選挙(同43.4%)から4.3%伸ばした。5%を獲得できない政党は議席を確保できないルールがあるため、同党の議席数は過半数(91)を大きく上回る101に達した。前回選挙では議席数が過半数を割り込んだため、46年ぶりに連立政権を形成していた。

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CSU以外の政党では第2党のSPDが得票率を前回の18.6%から20.6%へと伸ばし、10年ぶりに20%の大台を確保した。ただ、増加幅は期待を下回っており、連邦議会選挙でも苦戦が予想される。

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CSU、SPD以外で議席を獲得したのは緑の党と市民政党「自由な有権者」の2党。両党とも得票率がやや低下し、自由な有権者は前回の10.2%から9.0%、緑の党は同9.4%から8.6%に落ち込んだ。緑の党は国政選挙戦で富裕者の税負担引き上げを打ち出したことなどがマイナスに働いている。

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FDPは前回、得票率を8.0%に伸ばし、14年ぶりに同州議会に返り咲いたが、今回は国政レベルで人気が凋落していることが逆風となり、3.3%へと大きく後退した。

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22日の連邦議会選挙でFDPが議席を失った場合、国の政権は(1)CDU・CSUとSPDの2大会派からなる大連立政権(2)CDU・CSUと緑の党からなる連立政権(3)SPDと緑の党、および急進左派の左翼党からなる左派政権――の3つの可能性が考えられる。

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最新の世論調査では大連立政権を「ドイツにとって好ましい」と考える有権者が47%に達し、CDU・CSUとFDPからなる現連立の継続支持(同38%)を大きく上回った。CDU・CSUとSPDは05年から09年にかけて連立を組み金融危機を乗り切った実績があり、これが評価されているもようだ。SPDは現時点で大連立の可能性を排除しているものの、水面下で打診しているとの観測もあり、実現の可能性は十分にある。

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CDU・CSUと緑の党の可能性もゼロではない。緑の党は08~10年にかけてハンブルク州でCDUと連立を組んでいるためだ。ただ、国政レベルでは緑の党が連立拒否の姿勢を保っており、大連立よりも可能性が低い。

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SPD、緑の党、左翼党の支持率は現在、合わせて46%で、CDU・CSUとFDPの合計(45%)をわずかに上回っている。このため、数字上は左派3党の連立政権が考えられるが、SPDと緑の党は旧東ドイツの独裁政党(社会主義統一党)の流れをくむ左翼党との連立を明確に拒んでいる。

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