フラウンホーファー太陽エネルギー研究所(ISE)は14日に発表した報告書『ドイツ・エネルギーシステム2050』で、2050年までに温室効果ガス排出量を1990年比で少なくとも80%削減する政府目標を達成するためのエネルギーモデルを提言した。それによると、最も低い経済負担で目標を達成するためには再生可能エネルギーの比率をおよそ8割に引き上げるとともに、再可エネの出力不安定を吸収するための発電セクターを超えたネットワーク化、温熱など電力外のエネルギーとの連携、エネルギー効率の向上などが不可欠という。
\今回の報告書は、ISEが12年に発表した先行研究(電力・熱消費に占める再可エネ比率を100%に引き上げるためのエネルギーモデル)をさらに発展させたもので、同研究所は国民や産業界に過度の経済的負担がかからず、かつ温効ガス削減目標を達成するという2つの条件を満たすエネルギーモデルを作成した。
\それによると、再可エネの発電コストが下がり続けるのに対し、原油などの化石燃料価格は中長期的に上昇が見込まれる。このため、再可エネ発電の比率が高まることで消費者の負担が(現在のエネルギーミックスがそのまま維持された場合に比べ)増えることはない。ただ、太陽・風力などの自然エネルギーは発電量が天候に大きく左右され需要に応じて発電できないため、低温排熱による室内暖房・温水や交通など、現時点では電気が主要なエネルギー源として使われていない分野でも電力を活用できるようなネットワークづくりが必要とISEは結論づけている。
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