欧州経済の中心地ドイツに特化した
最新の経済・産業ニュース・企業情報をお届け!

2013/12/4

総合 - ドイツ経済ニュース

自動車排ガス規制案をEU加盟国が承認、20年末までの段階実施で妥協

この記事の要約

欧州連合(EU)加盟国は11月29日にブリュッセルで大使級会合を開き、域内で販売される自動車を対象とする新たな二酸化炭素(CO2)排出規制案の内容で合意した。2020年までに新車のCO2排出量を走行1キロメートル当たり平 […]

欧州連合(EU)加盟国は11月29日にブリュッセルで大使級会合を開き、域内で販売される自動車を対象とする新たな二酸化炭素(CO2)排出規制案の内容で合意した。2020年までに新車のCO2排出量を走行1キロメートル当たり平均95グラム以下に抑えることを各メーカーに義務づけるとする原案に対して、1年間の移行期間を設けて達成期限を20年末とするなどの修正が加えられている。欧州議会と加盟国の正式な承認を経て導入される。

\

EUでは現在、15年までに乗用車のCO2排出量を走行1キロメートル当たり平均135グラム以下に抑えることを各メーカーに義務づけているが、欧州委は昨年7月、排出基準を平均95グラムに引き下げ、メーカーに20年までの達成を義務づける規制案を打ち出した。欧州議会と加盟国は今年6月に同規制案の内容で基本合意したものの、自国メーカーを保護する立場から厳格な規制の導入に反対するドイツの圧力でルールの見直しを余儀なくされ、EU議長国リトアニアを中心に妥協点を探る話し合いが続いていた。

\

新たな規制案によると、各メーカーはEU域内で販売する新車の95%について、20年までに1キロメートル当たり95グラムの排出基準を達成し、同年末までにこれを100%とすることが義務づけられる。ドイツは自国メーカーのダイムラーやBMWは大型車が主体で燃費性能に劣っており、排出基準の順守が難しいことから、4年間の移行措置を設けて削減目標の達成期限を24年とすることを提案していた。これに対し、小型車主体の自国メーカーがすでに高い水準の排出削減を達成しているイタリアやフランスなどが難色を示し、最終的に1年間の移行期間を置くことで妥協が成立した。

\

一方、メーカーに対する奨励策として来年から導入される低公害車に対する優遇措置に関しては、17年で打ち切るとしていた欧州委の原案に対し、欧州議会と加盟国は22年までスキームを維持することで合意した。「スーパークレジット」と呼ばれる同制度は、走行1キロメートル当たりのCO2排出量が50グラム未満の電気自動車やハイブリッド車を1台販売するごとに3.5台販売したとみなし、総排出量を換算後の「みなし台数」で割ることで、他のモデルを含めた1台当たりの平均排出量を削減できる仕組み。ただし、同スキームを通じて達成できる削減分は20-22年の3年間で最大7.5グラムに制限される。

\