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2013/12/18

経済産業情報

GMジャガイモの栽培認可は無効=欧州一般裁

この記事の要約

欧州司法裁判所の一般裁判所は13日、独化学大手BASFが開発した遺伝子組み換え(GM)ジャガイモ「アムフローラ」の欧州連合(EU)内での栽培、販売を認可した欧州委員会の決定について、手続きに不備があるとして無効とする判決 […]

欧州司法裁判所の一般裁判所は13日、独化学大手BASFが開発した遺伝子組み換え(GM)ジャガイモ「アムフローラ」の欧州連合(EU)内での栽培、販売を認可した欧州委員会の決定について、手続きに不備があるとして無効とする判決を下した。

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アムフローラは工業用でんぷんの原料や家畜飼料用として開発されたもの。欧州委は2007年、欧州食品安全機関(EFSA)が環境面での安全性を確認したのを受けて認可を提案した。一部の加盟国がアムフローラは抗生物質への耐性を持つため従来種への汚染の危険性があるとして反発し、EU閣僚理事会での調整が難航したが、欧州委は2010年に権限を発動して認可に踏み切った。これに対して、フランス、ポーランド、ハンガリー、ルクセンブルクが不当な決定として異議を唱え、欧州裁に提訴していた。

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欧州裁は判決文で、アムフローラの安全性についてEFSAが2009年に新たな見解を示したにもかかわらず、欧州委が加盟国に提示せず、一方的に認可したのはEUのルールに反するとして原告の主張を支持し、認可を無効とする判断を下した。

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BASFは欧州委から認可されたものの、アムフローラに対する拒否反応が強いことから、今年1月に申請を取り下げ、栽培を断念しており、今回の判決による影響はない。しかし、EUではGM作物に対する否定的な空気が強く、認可手続きが複雑で、これまでに商業栽培が認められたのがアムフローラと米モンサントのGMトウモロコシ「MON810」の2品種だけであることから、EUでのGM作物栽培に大きな障害が立ちふさがっていることを改めて浮き彫りにした格好だ。

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