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2014/1/15

ゲシェフトフューラーの豆知識

オフィスの室温は労使の共同決定権の対象か?

この記事の要約

オフィスの室温に関する具体的なルールは職場規則「ASR A 3.5」という行政命令に明記されている。これについては2011年8月11日号に掲載した本コラムですでに取り扱った。では、従業員の代表機関である事業所委員会が室温 […]

オフィスの室温に関する具体的なルールは職場規則「ASR A 3.5」という行政命令に明記されている。これについては2011年8月11日号に掲載した本コラムですでに取り扱った。では、従業員の代表機関である事業所委員会が室温に関する社内ルールの共同作成を要求した場合、ASR A 3.5を遵守している雇用主はそれを根拠に拒否できるのだろうか。この問題をめぐる係争でシュレスヴィヒ・ホルシュタイン州労働裁判所が昨年10月に判断を示したので、ここで取り上げてみる(訴訟番号:1 TaBV 33/13)。

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裁判は同州内にある企業の事業所委員会が同社を相手取って起こしたもの。同委は職場の環境を被用者の健康を損なわないよう整備することを雇用主に義務づけた職場政令(ArbStaettVO)3a条1項と、労災と職業病の発生予防および健康保護のための規則を事業所委は雇用主と共同策定できるとした事業所体制法(BetrVG)87条1項7の規定を根拠に、オフィスの室温に関するルールの制定委員会の設置を要求した。

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これに対し雇用主は、ASR A 3.5の規定に即した措置をすでに導入しているとして事業所委の要求を拒否したため、提訴された。

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シュレスヴィヒ・ホルシュタイン州労裁の裁判官は10月1日の決定で、原告・事業所委員会の訴えを認める判断を下した。決定理由で裁判官は、ASR A 3.5の規定は室温ルールの枠組みを示すものだと指摘。事業所委には同枠組みの範囲内で職場の独自ルールを雇用主と共同決定する権利があるとの判断を示した。上告は認めなかった。

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